「在宅勤務している人がずるい」
22歳の私は、毎朝そう思いながら満員電車に乗っていました。
新卒で入ったブラック企業では毎月100時間の残業が続いていました。それに加えて片道1時間の通勤です。朝7時に家を出て、帰宅するのは深夜。そんな生活をしながらSNSを開くと、友人が「今日も自宅で仕事してます」という投稿をしていました。
「なんで自分だけこんな思いをしないといけないのか」
この感情は、甘えでも嫉妬でもありません。消耗している状態で「楽をしている人」に見える人間を見たときの、正直な反応です。
現在、私は外資IT企業でフルリモート勤務をしています。広告改善・レポート作成・EC運用を自宅から担当し、通勤時間はゼロです。
「ずるい」と思っていた側から、「ずるい」と思われる側に移りました。その間に何をしたかを、この記事で書きます。
「在宅勤務ずるい」と感じる理由の正体
「ずるい」という感情は、不公平感から生まれます。
同じ給与・同じ仕事量で、一方は通勤なし・自宅でコーヒーを飲みながら働いている。もう一方は毎朝満員電車で消耗し、オフィスに縛られている。この差を不公平だと感じるのは、論理的に正しい反応です。
「ずるい」と感じる人が抱えている本当の問題は、在宅勤務している他人への怒りではありません。「なぜ自分はこの環境から出られないのか」という閉塞感です。
私が満員電車の中で「ずるい」と感じていたとき、実際に感じていたのはこれでした。友人が憎いのではなく、自分がこの状況を変えられないことへの無力感です。
この感情を認識することが、最初のステップです。「ずるい」という感情は「自分もこの環境から出たい」というサインです。
「ずるい」と思われる側になるまでの経緯
私がフルリモートを実現したのは偶然ではありません。具体的なプロセスがありました。
ステップ①:職種を変えた
ブラック企業での仕事は対面が前提の営業職でした。この職種のままでは、どの会社に転職してもリモートワークは難しい。リモートワークが可能な職種に移ることが最初の判断でした。
デジタルマーケティング・広告運用・EC運用は、成果物がデジタルで完結するためリモートワークとの相性が高い職種です。IT業界の知識があれば採用されやすいという点でも、キャリアチェンジの現実的な選択肢でした。
ステップ②:リモートワーク可能な環境がある会社を転職先の条件に加えた
「リモートワーク可」を転職先の条件として最初から設定しました。転職エージェントへの登録時に「フルリモートまたはハイブリッド可の求人のみ」と明示することで、条件に合わない求人の紹介を絞り込めます。
外資IT企業はリモートワークを前提とした業務設計が進んでいることが多く、転職先の候補として早い段階から意識していました。
ステップ③:書類と面接の準備に具体的に投資した
リモートワーク可能な職種・企業への転職は、書類と面接の準備の質が通過率を決めます。
書類はエージェントに添削を依頼し、PREP法を使った論理構成、前職のネガティブな表現の排除、数字を使った実績の明確化という3点を改善しました。面接では「熱意が伝わらない」という理由でお見送りになった経験から、論理的な説明に感情的な動機を一文加える習慣をつけました。
この準備の積み重ねが、外資IT企業への採用につながりました。
「ずるい」と感じさせる在宅勤務の実態
在宅勤務が「ずるい」と見える理由の一つは、外から見えている姿と実態の間に差があるからです。
外から見える在宅勤務:自宅でリラックスしながら仕事している、通勤がない、時間が自由。
実態として感じること
テキストだけでは相手の感情が読めない
チャットで届く「了解です」が快諾なのか渋々なのか、文面では判断できません。顔が見えていれば表情で補完できる情報が、テキストでは完全に落ちます。初めて一緒に仕事をする相手や、ミスをした後のやり取りでこれを強く感じます。
仕事と休息の境界を自分で作らなければならない
オフィスがない分、「今日の仕事が終わった」という感覚を自分で作る必要があります。同じ空間で仕事と休息をするため、切り替えができない人は精神的に消耗します。
「サボっていると思われないか」という心理的負担
出社していれば「仕事をしている」という見た目の証明になります。リモートでは成果物で証明する必要があります。このプレッシャーは、最初は想定より大きかったです。
在宅勤務は「楽している」のではなく、「別の種類の難しさ」がある環境です。「ずるい」と感じていた頃の私が知らなかったのは、この部分でした。
在宅勤務が自分に合うかどうかの判断基準
在宅勤務を目指す前に、自分がこの環境に向いているかを確認することをおすすめします。向いていない環境を工夫で乗り越えようとすると、その工夫のコストが積み重なって消耗します。
向いている人
一人で集中して仕事を進めるのが得意な人は、リモート環境での生産性が高くなります。私自身がこのタイプで、オフィスの雑音や割り込みがない環境の方が集中できると気づきました。
テキストコミュニケーションが苦にならない人は、リモートの環境でほとんどストレスを感じません。要件を整理して文章で伝えることが自然にできるかどうかが、リモートでの仕事の質に直結します。
自己管理ができる人、始業・終業の区切りを自分でつけられる人は、リモート環境で高いパフォーマンスを維持できます。
向いていない人
承認や反応を対話から得ている人は、リモート環境で孤立感を感じやすいです。「今日の仕事どうだった?」という確認がオフィスなら自然に満たされますが、リモートでは意識的に動かないと得られません。
チームの空気感をモチベーションの源泉にしている人は、リモート環境で失速しやすいです。組織全体のムードはリモートでは伝わりにくいためです。
在宅勤務ができる職種の見分け方
「どんな職種がリモートに向いているか」を判断する基準は3点です。
①成果物がデジタルで完結する
書類・データ・コード・テキスト・広告レポートがアウトプットの中心になっている職種はリモート適性が高いです。私が担当している広告改善・レポート作成・EC運用はこの条件を満たしています。
②コミュニケーションが非同期で成立する
Slackやドキュメントツールでのやり取りが中心になれる職種は、リモート環境での生産性が保てます。「その場での即断が必要」「リアルタイムの確認が常に必要」という職種は構造的にリモートが難しくなります。
③成果が数値または成果物で測れる
「どれだけ働いたか」より「何を作ったか・どんな結果を出したか」が評価の基準になる職種は、リモート環境での評価がしやすいです。
この3条件を満たす職種の代表例:デジタルマーケター・広告運用・Webエンジニア・Webデザイナー・データアナリスト・コンテンツライター・EC運用・カスタマーサクセス(IT系)。
在宅勤務を目指すなら、現職がこの条件を満たしているかを確認する方が、求人票の「リモート可」の文字を探すより先です。
在宅勤務を実現するために今すぐできること
転職エージェントに登録して「リモート可の求人のみ」と明示する
エージェントへの登録時に「フルリモートまたはハイブリッド可の求人に絞ってほしい」と最初に伝えることで、条件に合わない求人の紹介を減らせます。リモートワークを実現した会社の求人情報と、「どうすれば書類が通るか」の具体的なアドバイスを同時に得られます。
職種変更が必要かどうかを先に判断する
今の職種でリモートが可能かどうかを確認してください。対面が前提の職種のままでは、どの会社に転職してもリモートは難しい。職種変更が必要な場合は、デジタルマーケティング・IT系・コンテンツ系への転換を視野に入れた上で転職活動を設計する必要があります。
外資系企業を選択肢に入れる
グローバルで統一された働き方の仕組みを持っている外資系IT企業は、リモートワークを前提とした業務設計が進んでいることが多いです。Google・Microsoftのような外資ITはリモート環境が整っており、職種が合えばフルリモートが標準的です。
在宅求人に強いおすすめサービス
Remoful(リモフル)
リモートワーク×ビジネス職に特化した転職エージェントです。リモートワーク求人はエンジニアやデザイナーなど専門職が中心になりがちですが、Remofulは営業・マーケティング・カスタマーサクセス・事業開発といったビジネス系職種のリモート求人を3万件以上保有しています。「技術職ではないがフルリモートで働きたい」という状況に最も直接的に答えられるサービスです。アドバイザー全員がリモートワーク経験者のため、「リモートで実際どんな仕事をしているのか」「どんな環境なのか」という具体的な相談ができます。私が外資ITでフルリモートを実現した業務内容(広告改善・マーケティング・EC運用)はまさにRemofulが強い職種領域です。「在宅勤務ずるい」と感じている段階から、ビジネス職でのリモート実現を具体的に相談する入り口として機能します。
【リクルートエージェント】
国内最大の求人数を持つ総合型エージェントです。リモートワーク条件での絞り込みで選択肢が最も広く出ます。マーケティング・EC・コンテンツ・エンジニアなど幅広い職種でリモート求人を確認できます。「フルリモートの求人のみ紹介してほしい」と担当者に最初に伝えることで、条件に合わない求人の紹介を抑えられます。
レバテックダイレクト
ITエンジニア・Webクリエイター向けに特化したダイレクトリクルーティングサービスです。フレックス・リモートOKの求人が多く、技術系職種でリモートワークを探している場合に選択肢の質が高いです。スキルとポートフォリオを登録することで企業からスカウトが届く仕組みのため、リモート条件の企業から積極的なアプローチが来ます。
クラウドリンク
IT・Web業界に強い転職エージェントで、公開求人だけでなく非公開求人にも在宅勤務が可能な案件が多いです。IT・Web系の在宅希望者、家庭との両立を考えているエンジニアに向いています。担当者がIT業界の実態に精通しており、「この職種でリモートが現実的かどうか」という相談にも具体的に答えてもらいやすいです。
よくある質問
Q:在宅勤務は本当にずるいのですか?
ずるいのではなく、環境を選んで転職した結果です。在宅勤務を実現している人の多くは、それを可能にする職種・会社・スキルを選んできました。「ずるい」という感情は正直な反応ですが、その感情のエネルギーを「どうすれば自分も実現できるか」に向けることで状況は変わります。私自身がそのプロセスを経験しました。
Q:在宅勤務を実現するには何から始めればいいですか?
まず自分の職種がリモート可能かを確認してください。可能であれば、リモートワーク条件を転職活動の軸に設定してエージェントに登録する。可能でなければ、リモートに向いている職種への転換を視野に入れた転職計画を立てる。この順番で動いてください。
Q:出社している人とリモートワーカーで不公平感はなくなりますか?
完全になくなるのは難しいですが、制度として整理している会社では軽減されています。リモートワーカーと出社者で評価基準を同一にしている会社、手当の設計を工夫している会社は増えています。在宅勤務を選ぶなら、制度の整備が進んでいる会社を選ぶことが長く続けるための条件です。
Q:在宅勤務で孤独を感じますか?
感じる人と感じない人がはっきり分かれます。一人で集中して仕事をすることが得意な人、テキストコミュニケーションが苦にならない人は孤独を感じにくいです。承認や対話からモチベーションを得ているタイプは孤立感を感じやすい。自分がどちらのタイプかを把握した上で、フルリモートかハイブリッドかを選ぶことをおすすめします。
まとめ
「在宅勤務ずるい」と感じることは、自然な反応です。消耗している状況で楽に見える環境を見れば、そう感じます。
ただしその感情のエネルギーを「あの人はずるい」に向けても状況は変わりません。「どうすれば自分もその環境に移れるか」に向けることで、実際に変わります。
私は22歳で毎月100時間残業・片道1時間通勤をしながら「ずるい」と思っていました。今は外資ITでフルリモートです。その間にやったことは、リモートが可能な職種に移ること、リモート条件を転職の軸にすること、書類と面接の準備に投資することの3点です。
「ずるい」という感情は、変化のサインです。