フルリモートがきついというのは、半分本当です。3年以上フルリモートで働いてきた私が、きつさを誤魔化さずに正直に話します。
GoogleとMicrosoftでフルリモートを続けてきて、きつかった部分は確実に存在しました。テキストだけでは相手のテンションが読めない、仕事と休息の切り替えが難しい、グローバルの時差で朝から深夜まで拘束される日がある。これは事実です。
ただ同時に、通勤往復2時間がゼロになり、その時間を副業に充てられるようになり、静かな環境で集中できることで生産性が体感で約20%上がりました。フルリモートはきつさとメリットが表裏一体の働き方で、向いている人には最高で、向いていない人には確かに消耗します。
どちらに当てはまるかを判断するための基準を、自分の体験から書きます。きつさを美化するつもりも、フルリモートを礼賛するつもりもありません。
実際にきつかった5つのこと
3年以上続けてきた正直な話です。
テキストだけでは相手のテンションが読めない。これはフルリモート最大の摩擦でした。対面であれば表情と声のトーンで「今話しかけていい状態か」「怒っているのか疲れているのか」が瞬時に分かります。テキストだけでは、返信の短さが忙しいのか、不満なのか、単に簡潔なタイプなのかが分からない。Microsoftで朝6時からアメリカのチームと、日中に日本の案件、夕方にヨーロッパのチームとやり取りする日は、テキストで何十ものやり取りをこなしながら、相手の状況を推測し続ける必要があります。これは慣れましたが、ゼロにはなりません。
仕事と休息の切り替えが難しい。作業場所が家になることで、仕事が終わった感覚が薄れます。パソコンを閉じても、また開いてしまう。通勤という物理的な区切りがなくなることで、オンとオフの境界を自分で作らなければなりません。私は今でもこれが完全には解決できていないと感じています。
グローバルの時差で拘束時間が長い日がある。Microsoftでは朝6時から米国チームのミーティングに入り、日中は日本案件を進め、夕方からヨーロッパのチームとやり取りする日があります。移動時間がゼロという利点はあるものの、時間軸が長い日の疲弊感は、オフィス勤務の残業とは質が違います。
運動量が激減した。通勤がなくなった結果、歩かない日が増えました。この影響は思ったより大きく、体の疲れ方が変わりました。朝夕30分ずつ歩くことを習慣にして対処しましたが、これはフルリモートを続けるうえでの実質的なコストです。
最初の半年、チームとの距離感が掴めなかった。Googleに転職してフルリモートを始めた当初、チームとの関係がどの程度進んでいるのかが分かりませんでした。対面のオフィスなら、隣で仕事しながら自然に距離が縮まりますが、リモートでは意識して関係を作りにいかないと、何ヶ月経っても「まだ新人感が抜けない」状態になります。半年かけて慣れましたが、この初期の不安は予め知っておいてよかったと感じています。
3年続けられた理由
きつさを正直に話した上で、なぜ続けているかも書きます。
最も大きかったのは通勤往復2時間がゼロになったことです。毎日2時間が戻ってくれば、週5日で10時間。その時間をこのブログの運営と自分のスキルアップに充てています。通勤という時間の消費がなくなっただけで、生活の手触りが変わりました。
静かな環境で集中して作業できることも、自分の性質に合っていました。オープンオフィスの雑音や不意の話しかけが苦手なタイプには、フルリモートは集中環境として機能します。生産性が体感で約20%上がったのは、この環境の違いが大きかったと思っています。
もうひとつは、成果が出ていれば評価される文化です。何時に仕事を始めて何時に終わったかより、何を達成したかで評価される。この構造は、自分のペースで集中できる環境を好む人間には、オフィス勤務より公平に感じます。
向いている人・向いていない人
自分がフルリモートに向いているかどうかを判断するための基準を整理します。
| 項目 | 向いている | 向いていない |
|---|---|---|
| 集中環境 | 静かな場所でひとりで作業するほうが集中できる | オフィスの適度な雑音・人の気配があるほうが調子が出る |
| コミュニケーション | テキストで的確に伝えられる・誤解が生じにくい | 表情・声が使えないとニュアンスが伝わらないと感じる |
| 自己管理 | 締切と目標を自分で設定・管理できる | 他者の目や職場の空気から刺激を受けて動くタイプ |
| 孤独感 | ひとりの時間を苦痛に感じない | 人と話さない日が続くと調子が崩れる |
| オンオフ切替 | 仕事の終わりを自分で決めて守れる | 場所が変わらないと仕事モードを切れない |
| 環境整備 | 自宅に集中できる作業環境を確保できる・または確保する意欲がある | 自宅では誘惑が多くなってしまう |
この表の「向いていない」に複数当てはまる場合でも、工夫次第で対処できる項目は多いです。ただし「孤独感が慢性的に続く」「オンオフが全く切れない」という状態が長期化すると、精神的な消耗につながります。フルリモートで精神的につらくなったときの対処についてはフルリモートで病む記事で詳しく書いています。
きつさへの具体的な対処
きつさを感じていても、工夫で大きく改善できる部分があります。自分が実際にやって効いた方法を書きます。
コミュニケーション:テキストのニュアンスが読みにくい相手との案件は、ビデオ通話を短くても入れることで解消しました。テキストで誤解が積み重なるより、15分の通話の方が速い。慣れれば「この案件はビデオ、こちらはテキストで十分」という判断が自然につくようになります。
オンオフの切り替え:作業を終えるときに「今日のタスクを終えた」という記録を書いて終了する習慣を作りました。完璧ではないですが、心理的な区切りになります。また退勤後にそのまま外を歩く時間を入れることで、身体的な切り替えにしています。
孤独感と距離感:週に一度、業務と直接関係ない話を短くしてもよいと認識しているチームかどうかを、初期に確認することが重要です。チームの文化が読めてくれば、業務外の短いやり取りを自分から入れることで、距離感を縮める速度が変わります。
運動量の維持:朝夕の30分歩きは今でも続けています。これを習慣にするまでは意識が必要でしたが、1ヶ月続けると自然になりました。通勤がない分、意図して体を動かすことは必須だと感じています。
時差対応:グローバル案件がある場合、深夜または早朝のミーティングが入ることがあります。この曜日と時間帯を把握して、その前後の業務量を調整することで消耗を減らせます。すべての日を同じ密度にしようとしないことが長期的に続けるコツです。
フルリモートのデメリットをより詳しく知りたい方はフルリモートのデメリット記事に、フルリモートはやめとけという視点はフルリモートやめとけ記事にまとめています。
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よくある質問
フルリモートは3ヶ月きつくても慣れますか。
多くの人にとって慣れます。私もGoogleでフルリモートを始めた当初は、チームとの距離感が掴めず半年ほど不安が続きましたが、その後は自然になりました。ただし「孤独感が我慢できない」「仕事とプライベートの境界が全く作れない」という状態が3ヶ月以上続いているなら、環境の工夫に加えてフルリモートの向き不向きを改めて判断した方が良いです。
フルリモートで昇進や評価に影響はありますか。
成果主義の文化がある企業であれば影響は少ないです。私の経験でも、フルリモートが理由で評価機会を失ったと感じたことはありません。ただし「見えているところで頑張っている人を評価する」文化が強い企業では、影響が出る可能性があります。転職時に評価の基準を確認することをすすめます。
運動不足への対策はどうしていますか。
朝夕30分ずつ歩くことを習慣にしています。通勤がない分、意識して外に出る機会を作らないと、一日中室内で終わる日が出てきます。スタンディングデスクの活用や昼休みの散歩も有効です。これは対策が必要なデメリットとして最初から覚悟しておいた方がいいです。
フルリモートで孤独感が強い場合はどうすればいいですか。
週に一度でも対面の機会(カフェでの作業・コワーキングスペース・友人との外出)を入れることが有効です。また業務内のコミュニケーションを意識的に増やす(短いビデオ通話・業務外の短いやり取り)ことで、孤立感は軽減できます。それでも改善しない場合は、フルリモート以外の働き方(週数回出社のハイブリッド)を検討する選択肢もあります。
まとめ
フルリモートがきつい、は本当です。テキストでテンションが読めない、オンオフが切れない、運動量が激減する、時差で長い日がある。これは3年続けても一部は残ります。
それでも続けているのは、通勤2時間がゼロになり、静かな環境で集中できる時間が増え、成果で評価される文化が自分に合っているからです。きつさとメリットを天秤にかけて、自分がどちら側に傾くかを正直に判断することが先決です。
向いている人には最高の働き方で、向いていない人には確かに消耗します。上の表で自分がどちら側に当てはまるかを確認してから、フルリモートへの転職を動いてみてください。
著者:ビギー。新卒で入ったブラック企業を3ヶ月で退職後、5回の転職を経てGoogle・Microsoftへ。Google転職以降フルリモートを3年以上継続。朝6時から米国チーム・日中に日本案件・夕方に欧州チームという時差勤務を経験しながら、副業のブログ運営も並行してきた。候補者として実際にフルリモートを続けてきた立場から、20代向けに転職とキャリアのリアルを発信している。