「転職エージェントはやめとけ」という声をネットでよく見かけます。
この声には正当な根拠があります。私も転職エージェントを使った中で「これはひどい」と思った経験が実際にあります。
外資系IT企業を希望すると伝えているのに、なぜか国内の製造業の求人を持ってこられたことがありました。「この人は私の話を聞いていたのか」と感じた瞬間でした。急かされた経験、的外れな求人を大量に送られ続けた経験、担当者を3回変えた経験——これらは全て実話です。
それでも私は5回の転職を通じてエージェントを使い続け、最終的にGoogleへの転職で当初の提示額より100万円以上の年収アップを実現しました。
「やめとけ」と感じた経験と、それでも使い続けた理由の両方を正直に書きます。
「転職エージェントはやめとけ」と言われる理由は正当か
「やめとけ」という声には実際に根拠があります。理由を一つずつ確認します。
希望と違う求人ばかり紹介されるという問題は本当に起きます。私が「外資系のIT企業希望」と伝えているのに国内製造業の求人を持ってこられた経験がその典型です。なぜこれが起きるかというと、転職エージェントには「成約しやすい求人」を優先的に紹介する構造があるからです。エージェントの報酬は転職が成立したときに発生するため、内定が取りやすい無難な求人を優先する担当者が存在します。難易度の高い外資系より確実に内定の出る国内企業を勧める動きは、この構造から生まれます。
転職を急かされるという問題も実際にあります。月末の成約件数目標が担当者のプレッシャーになることで「今月中に決めてほしい」という圧力が来ることがあります。転職活動の判断を急かされると、条件の悪い会社を選んでしまうリスクが上がります。
連絡が多すぎると感じる人もいます。登録直後から大量のメールと電話が来て、転職を決めていない段階でも対応が追われる状態になることがあります。転職活動を能動的に進めたい人には、このペースが負担になります。
担当者との相性が悪い場合の問題もあります。ヒアリングが浅い、上から目線で話してくる、レスポンスが遅い、担当者の個人的な特性が転職活動の質を大きく左右します。これは当たりはずれがあることで、はずれに当たると「やめとけ」という感情が生まれます。
個人情報の管理への不安もあります。転職エージェントに登録すると職歴・連絡先・収入といった個人情報を渡します。大手エージェントは情報管理体制が整っていますが、規模の小さいエージェントでは対応が不透明なケースがあります。
私が「やめとけ」と感じた実際の経験
外資系IT希望なのに国内製造業の求人を持ってこられた話の続きを書きます。
その担当者への連絡をやめて別のエージェントに移ることにしました。その後、コンサル特化のエージェントに登録したとき、担当者の対応が全く異なりました。最初の面談でキャリアの方向性・なぜ外資を目指すのか・働き方の希望を深くヒアリングしてくれました。紹介された求人は私の軸に合ったものでした。
この経験から学んだのは「転職エージェントがだめなのではなく、その担当者がだめだった」という区別です。「やめとけ」と感じたとき、多くの場合は転職エージェントという仕組みの問題ではなく特定の担当者の問題です。
それでもエージェントを使い続けた理由
「やめとけ」と感じた経験があっても、5回の転職を通じてエージェントを使い続けた理由があります。
書類添削で自分では気づかなかった問題を直してもらえたことが最初の理由です。職務経歴書を自分で書くと、客観的に見えていない問題が必ずあります。PREP法を使った論理構成になっていないこと、前職のネガティブな状況が間接的に読み取れる表現があること、実績が数字で示されておらず規模感が伝わらないこと——これらはエージェントの添削で初めて気づきました。
年収交渉を代行してもらえることが2つ目の理由です。Googleへの転職時、エージェントの交渉により当初の提示額より100万円以上高いオファーを得られました。自分では言いにくい「もう少し上げてほしい」という交渉をエージェントが代行してくれます。
非公開求人へのアクセスが3つ目の理由です。転職市場の一部はエージェント経由でしか見られない求人があります。一般求人サイトには出ていない外資系企業のポジションを複数紹介してもらいました。
フェーズに合った専門情報が得られることが4つ目の理由です。コンサル転職を目指していたとき、コンサル特化のエージェントからファームごとの選考傾向・ケース面接の対策情報・志望動機の磨き方について一般エージェントとは質の違う情報を得られました。外資転職でも同様に、外資特有の選考プロセスと交渉文化についての情報が機能しました。
本当に「やめとくべき」状況と「使うべき」状況
「転職エージェントはやめとけ」というのは全否定ではなく、状況による判断が正確です。
やめとくべき状況があります。自分のペースで転職活動を進めたい場合です。エージェントの連絡頻度や急かすペースが負担になる人には、転職サイトでの自分主導の活動の方が合っています。
スタートアップや独立系の小さな会社を幅広く見たい場合もエージェントより転職サイトが向いています。エージェントは登録企業の求人を中心に紹介するため、エージェントと契約していない企業は選択肢に入らないことがあります。
担当者との相性が合わない状態でそのまま続ける場合は確かに「やめとけ」です。合わない担当者との活動は時間と機会の無駄です。ただしこれは「エージェントをやめる」ではなく「担当者を変える・エージェントを変える」が正しい解決策です。
使うべき状況もあります。初めての転職活動で何から始めればいいか分からない場合です。書類添削・面接対策・市場情報という無料サービスを最初から得られることは転職活動の質を上げます。
短期離職・未経験職種への転換・外資系・ハイクラスなど、説明が必要または情報が少ない転職の場合です。担当者から「自分の経歴はこういう文脈で語れる」「この会社はこういう選考傾向がある」という専門情報が機能します。
年収交渉が必要な場合です。自分では言いにくい交渉をエージェントが代行することで、同じ転職でも条件が変わります。Googleで実現した100万円超のアップはこの機能なしには難しかったです。
やめとくべき担当者の見分け方
「転職エージェント」全体ではなく「この担当者はやめとくべき」という判断基準を整理します。
最初のヒアリングが表面的な担当者はやめとくべきです。「希望年収は?」「希望職種は?」という質問だけで終わり、なぜ転職したいのか・どんな環境で働きたいかを深く聞いてこない担当者は、あなたの軸を理解する気がありません。
希望と関係ない求人を大量に送ってくる担当者もやめとくべきです。私が経験した「外資系IT希望なのに国内製造業の求人」はこのパターンです。条件を再度明確に伝えて改善しない場合は変更が最短の解決策です。
転職を急かしてくる担当者も問題です。「今月中に決めてほしい」「この求人は締め切りが近い」という表現で判断を急かす担当者は、あなたの最善より自分の成約件数を優先しています。
断ったときに「では別の求人を送ります」とだけ返してくる担当者も質が低いです。「なぜ合わないと感じたか」を深掘りしてくれる担当者との差は大きいです。
転職サイトとエージェントの使い分け方
最も効率的な転職活動は転職サイトとエージェントを使い分けることです。
転職サイトで市場全体を把握します。「どんな求人があるか」「自分の希望する条件の会社はどのくらいあるか」「年収相場はどのくらいか」という全体像を先に把握することで、エージェントからの提案が「良い求人かどうか」を判断できます。
エージェントは書類添削・面接対策・年収交渉という機能のために使います。求人を見つけることだけがエージェントの価値ではなく、選考プロセスのサポート機能に価値があります。
複数のエージェントに同時登録することで比較ができます。1社だけでは担当者の質の比較ができません。3〜4社に登録してヒアリングの深さ・紹介求人の質・レスポンスの速さを比較することで、機能するエージェントが見つかります。
おすすめのエージェント
【リクルートエージェント】は業界最大の求人数を持つ総合型エージェントです。担当者による質の差がある点は事実ですが、「市場にどんな選択肢があるか」の全体把握に最も有用です。合わない担当者に当たった場合の変更依頼が大手ゆえに通りやすい点も特徴です。
マイナビジョブ20'sは20代・第二新卒に特化した部門を持ちます。第二新卒での転職活動で「何から始めればいいか分からない」という段階での相談に向いています。
JAC Recruitmentは外資系・ハイクラス転職に強みがあります。担当者の専門性が高く「外資系IT希望なのに国内製造業を勧められた」というパターンが起きにくい環境です。
よくある質問
転職エージェントはなぜやめとけと言われるのかという質問をよく受けます。理由は大きく分けて担当者の質のばらつき・希望に合わない求人の紹介・急かすような対応・連絡の多さの4つです。ただしこれらは全てのエージェントに当てはまる問題ではなく、担当者と相性が悪い場合に起きることがほとんどです。エージェントという仕組みそのものの問題ではなく、担当者の問題として切り分けることが正確です。
転職エージェントを使わずに転職した方がいいケースはありますかという質問もあります。自分のペースで時間をかけて転職したい場合・スタートアップや独立系の企業を幅広く見たい場合・特定の企業に直接応募したい場合は転職サイトや直接応募の方が向いています。ただし書類添削・年収交渉・非公開求人へのアクセスが必要な場合はエージェントの機能が有効です。
転職エージェントに登録しただけで転職しなければならないですかという質問もあります。転職義務は一切ありません。相談だけ・情報収集だけの段階からの利用は歓迎されます。「今すぐ転職するつもりはないが市場を見ておきたい」という段階から登録しておくことで、実際に転職を決めたときに情報の蓄積がある状態でスタートできます。
複数のエージェントに登録すると担当者間で情報が共有されませんかという質問もあります。エージェント間での情報共有はありません。複数登録は標準的な転職活動のやり方です。同じ企業に複数エージェント経由で重複応募することだけを避けてください。それ以外の複数登録は問題ありません。
まとめ
「転職エージェントはやめとけ」という声には正当な根拠があります。希望と違う求人を勧められる・急かされる・担当者の質がばらつく、これらは本当に起きることです。
ただし「やめとけ」の多くは転職エージェントという仕組みの問題ではなく、特定の担当者の問題です。合わない担当者に当たったとき、エージェントそのものを諦めるのではなく担当者を変える・エージェントを変えるという対処が正確な解決策です。
私が外資系IT希望なのに国内製造業の求人を持ってこられた経験をしながら、それでも5回の転職でエージェントを使い続けた理由は、機能する担当者と出会ったときの価値が大きかったからです。書類添削・年収交渉・専門情報、これらは一人での転職活動では得られない価値です。
転職エージェントを使うかどうかの判断より、「どの担当者を選ぶか」という判断の方が転職活動の質を決めます。